道に迷ってモチベーションが低下したときに出会ったもの(カッパ

カッパドキア2日目です。


この日はえらい目に遭いました。
広大な大地で道に迷い、モチベーションがひどく低下したときの話をします。



ギョレメ村の朝。


毎朝ギョレメでは、このように空にたくさんの気球が浮かびます。
カッパドキア名物の気球です!
これは夜明けのカッパドキアを上空から見るツアーのためのもの。
朝日に照らされる奇岩群の風景は素晴らしいみたいです。


この日はカッパドキアのいくつかの観光名所を回り、
最後の目的地「野外博物館」のあるゼルヴェへとバスで向かっていました。
しかし野外博物館は途中までは市バスがあるのですが、
そこからは個人旅行者の場合、トレッキング(徒歩)でしか行けませんでした。
そのため、途中でバスを降りなければなりませんでした。



下ろされた場所


本当に絵に描いたような分岐路です。
だだっ広い大地の真ん中で下ろされた私。
バスは他の街へ向けて走り去っていく。
あらゆるものから見放された感じで心細い。
とりあえず、ゼルヴェの標識が指す方向へとてくてく歩いていく。



この道で大丈夫か?一体いつ着くのか見当もつかない感じ。



途中に巨大な岩を発見!シメジみたい。


しかし歩いても景色は変らず。
何もせずとも遠い目をしてしまう景色が続く。
東京では考えられない遠近感でした・・



カッパドキアの大地はすごい迫力。



石灰岩に出来た岩山。一面が真っ白!
太陽に照らされて眩しいほどでした。



観光バスでやってきた欧米観光客



有名な3本キノコ岩と近くにいたラク


この近くには岩に掘られた教会がありました。
なんでも岩の中に居住空間を作ってしまうのがこの辺りの文化なのでしょう。



この辺りにはこのようなキノコ岩がたくさんあります。
これらの岩は「妖精の煙突」と言われています。


ここまでは順調でした。
ガイドブックの地図によれば、もうすぐゼルヴェ野外博物館が見えてもいい頃だった。
しかし歩いても見えてこない・。
途中まで来ると道がU字に曲がっていた。
私はこのとき道沿いに歩くか、ショートカットして草原を突っ切るかで迷った。
最終的には草原を突っ切ることにしたが、これが間違いだった。


実はゼルヴェ野外博物館はU字カーブの先端部分にあって、
私はそれを知らずに通り過ぎてどんどん歩いてしまったのだった。



行けども道はまっすぐ・・・



巨大な崖の岩。もう後には戻れず、次第に怖くなってきた。



予想は当たった・・。すでにゼルヴェを行き過ぎて、
他の街への分岐点まで来てしまっていた。


少し前からおかしいなとは思っていたが、
もうすぐ着くだろうと自分をだましながら歩いてきた。
ここでようやくあきらめてもと来た道を引きかえすことに。
かなりモチベーションが低下してきた。
そして、すでに日は傾きかけていた。
日が沈んだら道も分からなくなる。少し焦り気味になった。



ついに日が暮れてきた。早くしないと野外博物館が閉まってしまう。
そう焦りながらも地平線の奇岩に沈むカッパドキアの夕日は美しい。


そのとき遠くの方に何かが見えた。
白い巨大なもぞもぞしたものが徐々に近づいてくる。



白いもぞもぞしたもの


近づいてくるのを見ると、それは無数の羊の群れでした!
夕日に照らされた羊たちは、左側の草原より現れ、
私の歩く道路のほうに徐々に近づいてきた。
カランカランという鈴の音が心地いい。ハイジ!



羊飼いが「元気か?」と声をかけてきたので、
私は「元気だ」と返した(本当は元気ではなかったが)
とても穏かな人であった。きっともう何十年も羊飼い人生を送っているに違いない。



羊たちは道路までやってきて、ゆっくりと道路を横切っていった。
道を間違えて疲れてはいたが、羊飼いとの出会いは素晴らしいものだった。


ようやくU字カーブまで戻り、ゼルヴェ博物館へ向かう。もう暗い。
博物館の入口付近まできたところでオートバイに乗ったおっさんがブオオンとやってきた。
どうやら管理人らしく、「今日はフィニッシュだ」と言った。
野外博物館は18時で終わりで、また明日来いという。


まだ歩いて帰るのかとうんざりしたが、
管理人のおっさんがバイクで宿のあるギョレメの途中まで連れて行ってくれるという。
私はおっさんのバイクに乗って暗い夜道を帰ることになった。


暗くなった一本道を走っていく。おっさんにとっては通勤路なのだろう。
こんな通勤路もいいなあ。でも何もない風景はきっと見飽きてしまうだろう。
今日は博物館は見れなかったが、羊に出会えて
なんだか心があったまった。
今日は果たして何キロ歩いたんだろう・・


とにかくカッパドキアの大地の広さを実感した一日でした。